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アプトの道を歩く その1 (H24.8.16)


碓氷第3橋梁(めがね橋)



碓氷第3橋梁(めがね橋)

アプト式鉄道時代の廃線敷を利用して、横川駅〜熊ノ平駅の間の約6Kmが遊歩道「アプトの道」として整備されました。

平成13年4月4日に、横川〜めがね橋間の4.7Kmが開通し、平成24年4月1日に、めがね橋から熊ノ平までの1.2kmが開通しました。


アプトの道は、国の重要文化財である旧丸山変電所をはじめ6つの橋梁と10の隧道があり、めがね橋を代表する鉄道煉瓦構造物群などの碓氷峠鉄道遺産にふれることができます。

各隧道内には照明も設置され、橋梁には転落防止の高欄が新設されています。


碓氷第3橋梁(めがね橋)


高崎〜横川間は明治18年(1885年)、軽井沢〜直江津間は明治21年(1888年)に開業しましたが、碓氷線と呼ばれた横川〜軽井沢間は、碓氷峠が急勾配のため、路線決定が紆余曲折し、明治26年(1893年)4月にようやく開業しました。この結果、高崎〜直江津間の全線が開業することとなりました。

横川〜軽井沢間の11.2km(標高差550m)は66.7パーミル(1000mで66.7m上昇)という鉄道としては急勾配のため(通常は30パーミル程度です)、ドイツの山岳鉄道で実用化されていたアプト式が採用され、昭和38年まで運行されました。アプト式は、機関車の車輪の間に備えた3枚の角度の異なる歯車をラックレールに噛ませる方式です。

しかしながら、アプト式の碓氷線は、速度が遅く、輸送力も低いという問題がありました。「アプト式」を使わない通常の「粘着式」運転の可能なEF63型電気機関車が登場し、輸送量の増加に対応するため、碓氷新線が昭和38年に開通しました。碓氷新線の開通に伴い、「アプト式」の路線は使命を終えました。



碓氷第3橋梁(めがね橋)

2年前に「お散歩写真隊」のサブコミュニティー「お散歩レンガ隊」のメンバー16名で遊歩道「アプトの道」を歩きましたが、その時は横川〜めがね橋間しか開通していませんでした。

今年4月1日から、めがね橋〜熊の平が開通したとの情報があり、出かけることにしました。


夏の暑い時期に、横川駅から熊の平の間を往復するのは大変ですから、横川駅から熊の平までの往路はバスを利用することにしました。

横川駅から軽井沢行きのバスは、大部分は碓氷バイパス経由で運行されています。

国道18号線を運行する「めがね橋経由」のバスは、運行時期が不定期で、しかも1日1本〜2本ですから、要注意です。今年は7月21日〜8月19日までは毎日運行、それ以降9月30日までは土・日のみ運行ということで、暑い中8月16日に出かけました。


熊の平駐車場からアプトの道への入口



熊の平駅への階段

横川駅から「めがね橋経由」の軽井沢行きJRバスに乗車し、坂本宿、峠の湯、めがね橋を経由して約25分で「熊の平駐車場」に到着です。

バス停は「熊の平駐車場」と「熊の平」がありますが、「熊の平」からはアプトの道には直接行くことはできないとのことです。

「熊の平駐車場」で下車すると、国道18号線の左手に30台程度駐車できる大きな駐車場があり、右手に「アプトの道入口」の案内板があります。



熊の平駅から軽井沢方面の碓氷線の隧道


新しく設置された階段の登ったところが「熊の平駅」です。

「熊の平駅」は、碓氷線が単線であったため、上り列車と下り列車のすれ違いと、蒸気機関車への給水・給炭の目的で設置されました。

碓氷線は幹線鉄道でありながら、その急勾配ゆえアプト式という特殊運転方式をとらざるを得ず、速度が遅く、輸送力が低いという問題を抱えていました。

このため、熊の平駅も待避線の設置や突っ込み隧道の設置などの改良が加えられました。


熊の平駅から軽井沢方面の碓氷新線の隧道



熊の平駅



変電所

碓氷線は急勾配のため、隧道が煙突の役割を果たし、煤煙によって乗客や乗務員が大変な苦痛を強いられました。

この煤煙問題の解決と輸送力増大のため、明治45年(1912年)わが国の幹線鉄道として初めて電気機関車が導入されました。


その後、昭和38年(1963年)碓氷新鮮の開通に伴うアプト式の旧碓氷線の廃止と、昭和41年(1966年)の碓氷新線の複線化により、熊の平駅は信号場に降格となり、平成9年の碓氷線の廃線とともに、その使命を終えました。


「熊の平駅」は随分大きなスペースがあります。

随分広いなあと思いながらよく見ると、熊の平駅で碓氷線と碓氷新線の両線が合流しています。

熊の平駅の軽井沢方向には、3つの隧道があり、1つは碓氷線、2つは碓氷新線の隧道です。

熊の平駅から軽井沢駅間は、アプト時代の物も残っているものの、一部のトンネルは塞がれており、現在のところ整備する計画はないとのことです。


アプト式開通の碑



熊の平殉職碑

碓氷線のトンネルの傍に「熊の平殉難碑」が建てられていました。

昭和25年(1950年)の大雨に伴う第10号隧道の4回にわたる大規模崩落事故により、作業中の人員や宿舎が埋まり、50名の方が亡くなりました。

この碑は、全国の国鉄職員の浄財により建立されたものです。



熊の平駅から横川寄りの隧道 左2つは碓氷新線、一番右が10号隧道


熊の平駅の横川方向には4つの隧道があります。

2つは碓氷新線の隧道で、1つは碓氷線の10号隧道、残りの1つが引き込み線の隧道ではないかと思われます。


10号隧道(左)と突っ込み隧道(?)



10号隧道



10号隧道(横川側入口)


10号隧道は長さ103mで、隧道の内部が少しカーブしています。



9号隧道(軽井沢側入口)


9号隧道は長さ120mの真っ直ぐな隧道です。隧道の向こうに8号隧道を望むことができます。

9号隧道と8号隧道の間にあるのが、第6橋梁です。

長さ51.9m、高さ17.4mで、碓氷線の橋梁ではめがね橋に次ぐ大きさです。

隅角部に隅石を配した高い橋台と、長い側壁を持っています。

高欄はフランス積みで、現存する橋梁では唯一のものと推定されています。


9号隧道(横川側入口)



第6橋梁



8号隧道(軽井沢側入口)



8号隧道(横川側入口)


7号隧道(軽井沢側入口)



7号隧道

第6橋梁の次にあるのが8号隧道、引き続いて7号隧道です。

7号隧道と8号隧道は1つの山のトンネルでしたが、工期短縮のため途中から山も掘り始めトンネルを2つに分けたものです。

このため8号隧道の横川側と7号隧道の軽井沢側は、非常に簡素な造りとなっています。

8号隧道は長さ92m、7号隧道は長さ75mです。



7号隧道(横川側入口)



第5橋梁と切り通し



第5橋梁、7号隧道と国道18号線に下りる遊歩道


7号隧道の先にあるのが第5橋梁で、引き続いて第4橋梁があります。

第5橋梁と第4橋梁の間は切り通しになっています。


第5橋梁



第4橋梁と6号隧道



第4橋梁

第5橋梁からは国道18号線に下りることのできる遊歩道があります。

この遊歩道から国道18号線に出て、国道18号線をめがね橋に向かうと、後述する6号隧道の横坑を見ることができるようです。

今回は、遊歩道を下りて、第5橋梁を下方から眺めたのみで、アプトの道に戻りました。



6号隧道



6号隧道


第4橋梁を過ぎると6号隧道です。

6号隧道は546mで、アプトの道で一番長いトンネルです。

トンネルに入ると左に緩やかにカーブしていますが、少し進むと右手前方にあかりが見えてきます。

近づいてみると、トンネルの右側壁に大きな穴がいくつもあいており、天井にも小さな穴があります。


6号隧道



6号隧道の乙横坑

6号隧道は工期短縮のため、途中からもトンネルを掘りました。

この穴はトンネル出入口以外からも入れるように造られ、掘削寺に発生した湧き水や土などをここから外に出したり、トンネル内に空気を送り込んでいたようです。

トンネル完成後は穴は塞がれるのですが、6号隧道ではそのまま残されました。

天井の穴は排煙用の穴です。



6号隧道乙横坑からの展望 下方は国道18号線


6号隧道には甲横坑、乙横坑の2つの横坑があるようですが、今回写真撮影したのは、乙横坑です。

乙横坑からは外を眺めることができ、下方に国道18号線を見ることができました。

第5橋梁の傍の遊歩道から国道18号線に下りることにより、乙横坑を下側から眺めることができるのです。

今回はパスしました。


6号隧道横川側入口



第3橋梁(めがね橋)



第3橋梁(めがね橋)

6号隧道を出たところが、アプトの道のメインスポットといえる碓氷第3橋梁です。

碓氷第3橋梁は、通称「めがね橋」として親しまれている、高さ31.39m、長さ91.06mという巨大なアーチ橋で、まさに圧巻です。

碓氷線(アプト式旧線)には、当時の土木技術の粋を集めて、28のトンネルと18の橋梁は造られていますが、めがね橋は4連式アーチ橋で碓氷線では最大の橋梁です。


めがね橋には200万個以上のレンガが使用されており、国内でも最大のレンガ造りアーチ橋です。

めがね橋の工事は明治25年4月に橋脚の基礎工事に着手し、25年12月にはレンガ積みを完了しています。

24時間体制の突貫工事だったとのことです。


第3橋梁(めがね橋)



第3橋梁(めがね橋)



第3橋梁(めがね橋)

明治27年に耐震性を高めるための補強工事が行われました。

これにより、アーチ部と橋脚が太くなったとのことですが、この補強工事により現在でも健全が保たれているとのことです。


遊歩道アプトの道の整備により、めがね橋の上は遊歩道化されるとともに、欄干には転落防止用の高欄が設置されています。

めがね橋の上部と国道18号線とを結ぶ、取り付け階段が設置されており、自由に行き来できます。


第3橋梁(めがね橋)



第3橋梁(めがね橋)

めがね橋から少し横川よりの国道18号線沿いに、駐車場が設けられていました。

以前は国道18号線にあるバス停「めがね橋」の傍に数台駐車していたようですが、ここはバス停のみとなっていました。

バス利用の場合は「めがね橋」で乗り降りできます。



第3橋梁(めがね橋)の遊歩道



第3橋梁(めがね橋)の遊歩道


めがね橋は高さが31.39mというだけあって、めがね橋の上からの展望もなかなかのものです。

めがね橋の上流側に橋梁を見ることができます。

碓氷新線の橋梁で、昭和38年から平成9年まで使用されていました。

長野新幹線の開通に伴い、碓氷新線は廃止になり、現在は使用されていません。

長野新幹線は約3km先の山の中を通っているとのことです。


碓氷新線の橋梁



第3橋梁(めがね橋)から国道18号線を望む 右下がバス停留所 左奥が駐車場



第3橋梁(めがね橋)


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