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上野東照宮の冬ぼたん (H24.1.14)


上野東照宮入り口



上野東照宮ぼたん苑入り口

上野東照宮ぼたん苑では、毎年1月1日から2月中旬までの予定で、冬ぼたんの一般公開が行われます。

今年は1月1日から2月19日(日)までで、開苑時間は午前9時30分から午後4時30分までです。



上野東照宮ぼたん苑



上野東照宮ぼたん苑


新年早々に上野東照宮の冬ぼたんを見に行ったネットの友人から、冬ぼたんはあまり咲いていませんし、梅も全く開花していませんとの情報が寄せられました。

昨年は花の開花や紅葉の時期が遅かったですが、冬ぼたんの開花も遅い感じです。

1月13日に鎌倉鶴岡八幡宮の冬ぼたんを見に行ったところ、見頃を迎えていました。


上野東照宮ぼたん苑



上野東照宮ぼたん苑

上野東照宮はいつにしようかと迷っていましたが、1月14日に浅草で高校時代のクラス会がありましたので、その日に上野東照宮を訪ねることにしました。

少し早いかなと心配していましたが、冬ぼたんはすでに見頃を迎えており、十分楽しむことができました。

しかしながら、例年は咲いている早咲きの梅の紅千鳥は全く開花していませんでした。



上野東照宮ぼたん苑


上野東照宮は、元和2年(1616年)2月駿河城に徳川家康を見舞いに赴いた、藤堂高虎と天海大僧正が、危篤の家康公の病床で「末永く鎮魂できる場所を造って奉ってほしい」との遺言を受け、高虎の屋敷領地であった上野の山に、寛永4年(1617年)に本営を造営しました。


上野東照宮ぼたん苑



五大州



五大州

その後、3代将軍家光がこの屋敷に満足できず、慶安4年(1651年)に現在の社殿(金色殿)を造営し、以後江戸の象徴としました。

これが現存する上野東照宮です。

上野東照宮には、徳川家康公(初代)、徳川吉宗公(8代)、徳川慶喜公(15代)が奉られています。


上野東照宮のぼたん苑は昭和55年(1980年)に日中友好を記念して開苑しました。

当初は上海及び洛陽植物園から寄贈された中国ぼたんを中心に70品種でしたが、現在では日本のぼたん約200品種、3000本と、中国のぼたん約50品種、200本を楽しむことができます。


新日月錦



島錦



黄冠



黄冠

冬ぼたんは約40種類、600本が公開されています。

雪除けのわら囲いの中で寒さに耐えながら可憐な花を咲かせる冬ぼたんは、なかなかの風情があります。

ぼたんのほかに梅や水仙、寒椿も楽しむことができます。


寒ぼたんと冬ぼたん

上野東照宮ぼたん苑や鶴岡八幡宮の神苑ぼたん庭園にこの時期に咲くぼたんを、風来坊は冬ぼたんとして紹介しております。

しかし、この時期に咲くぼたんには、厳密には寒ぼたんと冬ぼたんの2つの種類があります。


紫輝



紀ノ川



紀ノ川



冬紅光

ぼたんには二期咲き(早春と初冬)の性質を持つ品種があり、このうち低温で開花した冬咲きのものが古来より寒ぼたんと呼ばれています。

寒ぼたんは、江戸時代に牡丹園芸家が寒の時期にも富貴花を咲かせようと品種改良をおこなった牡丹で、これらの種類が寒ぼたんの始めといわれています。


春につく蕾はつみ取り、夏の終わり頃に葉を摘み取って花期を遅らせ、藁の霜囲いをして暖かいところに保護すると冬に開花します。

寒ぼたんの花はその年の気象に大きく左右され、着花率は2割以下といわれています。


冬国色



八千代



八千代

冬ぼたんは、花の少ない冬にお正月の縁起花として抑制栽培技術を駆使して開花させたものです。

本来、春に開花する花を、春夏に寒冷地で開花を抑制し、秋には温度調節をして冬に備えるという作業を丸2年かけて行い、この時期を春だと思いこませて開花させたもので、春ぼたんと同じ品種です。


寒ぼたんは、樹勢が弱くて栽培が難しいこと、安定して花を咲かせるまでには長い年月を要することなどから、上野東照宮や鶴岡八幡宮で見ることのできるこの時期のぼたんは冬ぼたんが主流のようです。

ぼたんで有名な奈良県の石光寺には、寒ぼたんが36種類300株あるとのことです。


白雪



紅輝獅子



花競

冬ぼたんと寒ぼたんの違いを一目で区別する方法は、緑の葉があれば冬ぼたん、葉がなく花だけのものが寒ぼたんです。

石光寺の寒ぼたんを見ていただくと、上野東照宮の冬ぼたんとの違いがはっきりするかと思います。


 石光寺の寒ぼたん


数年前の1月6日の○○新聞の「彩事記」のコーナーに、「人工的に咲かせるといっても、冷蔵庫で1年間冬眠させた後、温室で温度調整して正月に咲かせるという手間暇をかけています」との上野東照宮ぼたん苑の苑長さんの話が掲載されていました。

したがって、上野東照宮ぼたん苑の冬ぼたんは、上野東照宮で栽培管理されていると思っていました。


聖代



新日月錦



島の藤

今年は鶴岡八幡宮の神苑ぼたん苑で、冬ぼたんは島根県の大根島で栽培したものを毎年持ってきて植えているとの話を伺いましたので、上野東照宮でも冬ぼたんの栽培管理の方法を尋ねてみました。

返ってきた答えは、驚くなかれ「大根島」でした。


大根島はぼたんの栽培で有名ですが、関東の冬ぼたんの名所2カ所の冬ぼたんがいずれも大根島で栽培されているものとは驚きでした。

やはり厳密な温度管理の必要な冬ぼたんの栽培には、そのための施設と専門家が必要なためかと思います。

そのほかの場所で見ることのできる冬ぼたんも何処で栽培・管理されているか、機会があれば調べてみたいと思います。


寒紫



???


紅輝



???



吉野川

いずれにしても、花の殆ど咲かないこの時期に、可憐に咲いて人の心を和ませてくれる冬ぼたんには、観賞したいと思う人達の期待に応えるため、その裏ではさまざまな努力や気遣いがあるようです。

この時期にぼたんの花を咲かせるためのさまざまな努力に、敬意を表せざるを得ません。

大根島で冬ぼたんの管理をされている皆さん、誠にありがとうございます。


上野東照宮ぼたん苑の案内

開苑期間:1月1日〜2月19日
期間中は無休です。

開苑時間:午前9時30分〜午後4時30分(入園締切)

拝観料:大人600円、団体500円(20名以上)、高校生400円


冬紅光



???


アクセス


JR上野駅から徒歩5分 上野動物園の隣


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 上野東照宮


         風来坊


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