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見事な吊し雛
「吊し雛」百本が旧燈明寺本堂を華やかに彩ります。 「グランドマザー百人展・五節句の戯れ」が、9月2日(日)から9月16日(日)の間、三渓園の旧燈明寺本堂で開催されています。
この「グランドマザー百人展 五節句の戯れ」の作品展は、横浜市中区在住の大竹さんが横浜市内9ヶ所で実施している吊し雛教室「ちりめん細工 ひなたぼっこ紅絹(もみ)の会」の主催です。 今回の作品展では、同教室の生徒で、60歳代〜80歳代のおばあちゃん達を中心に100人の作品が展示されています。
今回の作品展では、五節句として年数をかけて一人一人が月に一度のお稽古で、一針一針、子・孫・曾孫の成長に思いを込めて作った作品が展示されています。 出来上がった作品は、見せるもの、見ていただくものものとして、見えない部分にも心を込めて完成させているものです。
今回の作品展に奥様が出品されているネットの友人の紹介で、このイベントがあることを知り、9月4日に訪ねました。 旧燈明寺本堂の階段を上がると、受付の周囲に吊し雛がずらりと並んでいます。 物凄い数の吊し雛でその光景はまさに圧巻です。
現在では、関東地方各地で見られる「吊し飾り」ですが、雛の和細工のさげ物の風習は全国でも珍しく、九州柳川地区では「さげもん」、山形酒田地区では「傘福」、伊豆稲取地区では、「雛のつるし飾り」と呼ばれており、この三地区のみが歴史的な背景や由来、文献等、つるし飾りの資料が現存しております。 日本三大つるし飾りといわれています。
今回の作品展の吊し飾りは、柳川の吊し雛すなわち「さげもん」に沿って作成されているとのことです。 福岡県柳川地方では、古くから雛祭りがとても盛んです。 特に初節句の折りには雛飾りの左右にたくさんの吊し雛・通称「さげもん」を、鴨居に渡した紅白を巻いた竹竿にさげ、賑やかに祝います。
これらの吊し雛は、江戸時代末頃から、女の子が生まれると初節句のお祝いに、その家のおじいさんやおばあさんが可愛い孫のために、お雛様の代わりに古着の端切れで小物を作ってお祝いしたのが始まりだといわれています。 小物には、鶴、亀、えび、三番叟といった縁起の良い物が作られています。
約40cmの竹の輪に赤布を巻き、7個7列の49個、中央に柳川まりを2個さげて全部で51個が吊されます。 人生50年と言われていた時代に、女性は一歩下がって49年と配慮した意味を持たせ、中央に柳川まり2個を加えることにより、50年よりも1年でも長生きしてもらいたいという切なる親の願いが込められています。
縁起物を吊るして、初節句の女の子の幸せと健康、無病息災、良縁を願って飾る「さげもん」。 親から子へ 子から孫へと受け継がれ、地域みんなで初節句を祝う風習が今なお続き、心温まる思いやりと地域の絆を大切にしています。
会場におられる会員の方に話を伺ったところ、今回の作品展示では、1人1下げの「さげもん」を展示されているとのことです。 「1下げ」といっても、49個の吊し雛です。 49個の吊し雛を、月1回の教室で1年間に作成することは困難ですから、数年かけて作成した作品が展示されているのです。
吊し雛の飾り付け
吊し雛の数が若干少なく5本程度の方も見られましたが、これまでに作成した作品を展示しているとのことです。 そこには1人1下げの百人展へのこだわり、心意気が感じられました。 今回の作品展に参加されている、最高齢の方は87歳とのことです。
会場で紅白の竹の輪を数えたところ、1列に10個並んでおり、それが10列ありました。 まさに、グランドマザー百人展です。 会場内に「グランドマザー 百人の心ひとつに 三渓園」との額が置かれていました。
グランドマザー百人展
旧燈明寺本堂
関連のホームページ 三渓園・吊し雛展 五節句の戯れ その2へ 五節句の戯れ その3へ
風来坊