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染の小道 川のギャラリー
染の小道
「染の小道(そめのこみち)」とは、染色を軸に街の活性化を目指すプロジェクトです。 2008年にギャラリーや染物工房、湯のし店など数店が集まって始め、今回で7回目を迎えます。
江戸文化が醸成した染色の技術。 昭和初期〜30年代まで、東京の神田川・妙正寺川流域には300軒を超える染色関連業が集積し、京都、金沢に並ぶ三大産地として知られていました。 現在でも、落合・中井界隈には、その技術を受け継ぎ、新しい染色を提案する職人・作家たちが集まります。 また水と緑に恵まれた谷戸の環境は、林芙美子や赤塚不二夫といった多くの文化人や芸術家を引きつけてきました。
染の小道 道のギャラリー
「染の小道」は、落合・中井を「染めの街」として再び日本や世界へ発信すること、そして、地域が大切にしてきた価値や環境を多くの方々に直接体験していただき、地元の活性化につなげることを目的とした、住民主体のイベントです。 妙正寺川の川面に反物を張る「川のギャラリー」、商店街店舗の軒先に、作家が制作した「のれん」を展示する「道のギャラリー」を展開し、3日にわたり染め物が中井の街を彩ります。
「川のギャラリー」「道のギャラリー」の2大看板企画は、回を重ねるごとに拡大しています。 2014年2月には、反物109反と90枚の暖簾が街を彩り、荒天にも関わらず3日間で推計9900人が中井を訪れたとのことです。 今年は2月27日(金)〜3月1日(日)の3日間開催されました。
「川のギャラリー」は、妙正寺川に「反物」を架けるイベントです。 川筋の染工場の職人たちが川のあちらこちらで染め物の水洗いをする風景は、昭和30年代頃までは落合・中井の風物詩でした。当時の街の記憶を、現代に甦らせるイベントです。 「染の小道」の趣旨に賛同する染色業仲間などから寄付を募ってかき集めた江戸更紗や小紋染めなど、色とりどりの反物(たんもの)が川面に踊ります。
反物は切って縫い合わせると着物となります。 反物のサイズは幅36〜40cm、長さ12〜13mで、ほぼ統一されています。 小柄な人の着物は深く縫い合わせ、大柄な人は浅く縫い合わせるなどして調整し、貴重な布を余す所なく使います。
着物はほどいて、つなげて、洗い張りをした後で仕立て直しができます。 小柄な祖母から背の高い孫へ、縫い直しながら着物を引き継いでいくことができるのです。 ほどいて反物の形に戻す工程は「洗い張り」、蒸気を当てて生地を伸ばし形を整える工程は「湯のし」と呼ばれ、それぞれ専門の技術者に依頼します。 現在ではこうした技術者の数も減ってきましたが、落合・中井周辺には数件が今も活動しています。
「道のギャラリー」は商店街を「のれん」で飾るイベントです。 染色の技術を持つ制作者たちが、お店と相談しながら染め上げた「のれん」が軒先を彩ります。 店先に屋号やマークを染め抜いた布を掲示する「のれん」は、店が開いているかどうかのサインになります。
発祥は定かではありませんが、部屋の間仕切りや壁の飾りとして使われ始め、平安時代には庶民の日用品になっていたという記録もあるそうです。 商店の入り口に飾って宣伝広告の機能を持つようになったのは、一説に室町時代と言われています。 江戸時代の立ち食い寿司屋などでは、客が手についた醤油をのれんで拭いて出たので、のれんが汚れている店は旨い店、という目印だったそうです。
2月27日(金)に、ネットの友人の企画したイベントに参加して、「染の小道」を訪ねました。 平日でしたが、「染の小道」は大勢の人で賑わっていました。 「染の小道」の会場付近は、昨年11月に駅からハイキング「中野の隠れた名所と元気な街巡り」で訪ねたことがあり、懐かしく散策できました。
道のギャラリー:文化学園大学
「道のギャラリー」では、「商店街をのれんで飾る97作品」がポイントでしたが、今回は「染の小道」のことをあまり勉強せずに参加してしまい、のれんの作品はごく一部しか撮影できませんでした。 次回は、のれんをしっかりと撮りたいと思います。
関連のホームページ 染の小道
林芙美子記念館
アクセス 西武新宿線中井駅、都営大江戸線中井駅から徒歩1分 駅の周辺の商店街が「染の小道」の会場となっています。 風来坊