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さざなみ広場のサギソウ
昭和記念公園では、今年も「サギソウまつり」が開催されています。 今年の「サギソウまつり」は8月8日(土)〜9月6日(日)です。 今年のサギソウまつりは例年よりも1週間程度遅くなっています。 近年、サギソウまつりが始まっても開花初期の状況が続いたためかもしれません。
サギソウまつりが始まる1週間ほど前の、7月30日に昭和記念公園を訪ねたところ、花木園展示棟前の湿地にはすでにサギソウが見頃を迎えつつありました。 この場所のサギソウは、自然の環境の中で咲くサギソウですので、他の花と同様に今年は開花が早い感じです。
この状況から、今年は、サギソウまつりが始まると同時に見頃を迎えているのではないかと思いましたが、なかなか昭和記念公園を訪ねることができず、やっと8月15日に訪ねることができました。 昭和記念公園では、今年もさざなみ広場、西立川ゲート、花木園展示棟、トンボの湿地に、ボランティアの方々が丹念に育てたサギソウが展示されています。 常時3万球のサギソウ花壇を見ることができるように、手入れされたサギソウが展示されています。
さざなみ広場に到着すると、すでに見頃を過ぎているサギソウもありましたが、ボランティアの方々が枯れたサギソウを摘み取り、綺麗なサギソウのみが残されていました。 すでに見頃を迎えているため、一晩で随分多くのサギソウが傷んでしまうとのことでした。 この日は風も比較的緩やかで、ゆっくりサギソウの撮影をすることができました。 西立川ゲート、花木園展示棟前、トンボの湿地のサギソウも見頃を迎えていました。
サギソウは、日当りの良い湿地に生える多年草で、夏に可憐な純白の花をつけます。 その花の形が翼を広げたシラサギを連想させることから、「サギソウ」という名前がついたといわれています。 サギソウは、地下にほふく茎があり、その先端に大豆ぐらいの球根(球星ともいう)をつけます。 その球根から芽が出て開花し、生育状態が良いと球根の数は1年で2〜3倍に増えるそうです。
花の高さは20〜40cmで、葉は茎の下部に数枚付き、広い線形で長さ5〜10cm、幅1cm程度です。 花の直径は約3センチ程度です。唇弁は3つに分かれ、側列片は扇形でフリル状に細かく深く裂けています。 距は細く長さは約4センチ程度です。
サギソウの歴史 サギソウの歴史は古く江戸時代初期にはすでに栽培の記録が残されています。 現在では生息地の開発と乱獲などが原因で、各地で個球数や生息地の減少が進み、「絶滅危惧種」の一つにあげられています。 昭和記念公園で展示されているサギソウは園芸品種とのことです。
西立川ゲートのサギソウ
昭和記念公園のサギソウ 昭和記念公園では、平成9年度に「水鳥の池」の北岸に約30平方メートル(2m×15m)の仮設花壇を設置し、「多摩サギ草愛好者の会」の協力のもとボランティア活動によりサギソウ約7,000球の植栽を行いました。 その後、ボランティア組織の拡充や栽培技術の向上を重ね、年間を通じ献身的に栽培管理を続けてきた結果、現在では約70,000球のサギソウを開花させるまでになっています。
昭和記念公園ではサギソウボランティアと協力してこのサギソウを大切に保護育成し、また栽培技術を広く普及することで、多くの来園者に末永くサギソウを楽しんでいただきたいと考えているそうです。 今年もサギソウボランティアが、1年間大切に育てたサギソウが、常時30,000球展示されています。
また、サギソウまつりの期間中は、サギソウ展、撮影用サギソウ鉢貸し出し、サギソウ相談会、サギソウスタンプラリーなどのイベントも開催されています。 サギソウの開花期間は1週間程度だそうですが、昭和記念公園では開花時期の異なる3種類のサギソウ「青葉」「銀河」「輝き」を栽培しており、1ヶ月近くの「サギソウまつり」の期間に、次々と開花します。
8月15日に訪ねたところ「青葉」が見頃を迎えており、各所で乱舞するサギソウを眺めることができました。 「銀河」はまだ開花していませんでした。 したがって、写真はすべて「青葉」です。
渓流に浮かぶサギソウ
西立川口から入園すると、前方に来場者案内テントが設置されており、サギソウボランティアによる来場者に対する案内、栽培方法の解説、ボランティア活動状況の紹介などが行われています。 案内テントのそばには、立体花壇が設置されており、車いすの方でも間近にサギソウを見ることができるように配慮されています。 また、少し離れた場所には、サギソウボランティアの方の栽培されたサギソウの展示も行われています。
花木園展示棟前のサギソウ
案内テントから斜面を下がった水鳥の池のそばに、約1.2m×12mの大花壇が設置されています。サギソウまつりのメインの花壇です。 花壇の傍には庭園風の花壇も作られています。 また、大花壇のそばにあるテントでは、写真撮影用のサギソウ鉢の無料貸し出しが行われています。 三脚を持ったカメラマンが次々とサギソウ鉢を借り出して、熱心に写真を撮っていました。
さざなみ広場のほかには、花木園展示棟前にも立体花壇が設置されています。 今年はここのサギソウも、見頃を迎えていました。 花木園水鳥の池の、自生地風花壇のサギソウは7月下旬が見頃で、8月15日はすでに見頃を過ぎていました。 また、花木園展示棟の展示室では、サギソウ展が開催されており、多くの品種のサギソウが展示されていました。
トンボの湿地では自生地風のサギソウを見ることができます。 また、トンボの湿地の傍の渓流には、今年もサギソウのイカダが漂っていました。 今年はサギソウの開花が早く、イカダのサギソウは見頃を過ぎつつありましたが、それでも水面に映るサギソウを楽しむことができました。
サギソウ品種の見分け方 昭和記念公園では、「青葉」「銀河」「輝き」の3種類のサギソウを栽培しています。 品種は葉で見分けることができますが、花での見分けは難しいです。 今年は銀河や輝きには出会うことができませんでした。
青葉 アオバ 開花期8月上旬 花姿が全体に楕円形。羽根の付け根が長い。 葉に紋が入っていない。
サギソウ愛好家の育てたサギソウ
銀河 ギンガ 開花期8月中旬 花姿が全体的に丸い。羽根の付け根が短い。 葉に紋が入っており、葉幅がある。紋の色は「輝き」よりも白い。
輝き カガヤキ 開花期8月下旬 花姿が全体に楕円形。羽根の付け根が長い。 葉に紋が入っており優しい雰囲気、紋の色は「ギンガ」よりも黄色い。
サギソウ伝説 今から400年以上も昔、世田谷城主吉良頼康には奥沢城主大平出羽守の娘で常磐という美しい側室がいました。 常磐姫は頼康の愛を一身に集めていましたが、それをねたましく思った側妾たちは、作り話によって頼康に告げ口をしました。 度重なる告げ口から頼康もそれを本気にして常磐姫に冷たくあたるようになりました。
愛情を疑われ、悲しみにくれた姫は死を決意し、幼い頃からかわいがっていた白鷺の足に遺書を結びつけ自分の育った奥沢城に向けて放しました。 白鷺は奥沢城の近くで狩りをしていた頼康の目にとまり、矢で射落とされてしまいました。白鷺の足に結んであった遺書を見て初めて常磐姫の無実を知り、急いで世田谷城に帰りましたが、すでに姫は息を引き取っていました。 その時、白鷺の血のあとから、1本の草が生え、サギに似た可憐な花を咲かせました。これがサギソウと呼ばれるようになったのです。 風来坊