散策スポット目次
HOME
前ページ
次ページ
千葉公園の大賀ハス
千葉公園は千葉市初の総合公園として、戦災復興計画に基づいて陸軍の鉄道第一連隊跡地に整備された公園です。 公園内には野球場、プール、体育館等の運動施設や綿打池があります。 春には660本の桜が咲く花見の名所として知られ、6月下旬から7月は大賀ハスの観賞地となっています。
昭和26年(1951年)春に大賀一郎博士らにより、千葉市検見川の東京大学農学部厚生農場内(現在の東京大学総合運動場)の地下約6mから古ハスの実3粒が発掘されました。 その後の鑑定で2000年前の古ハスと推定されています。 同年5月に発芽実験が行われ、発芽した3粒のうち1つの実生苗だけが立葉8枚の株に大きく成長しました。
蓮池は早朝からカメラの砲列
蓮池は早朝から多くの人が
翌昭和27年(1952年)4月に3本の蓮根が掘り上げられ、その1本(3節約40cm)が千葉公園に分根され弁天池(綿打池の一角)で栽培が始まりました。 東大の蓮根(4節60cm)は地元の伊原茂氏に栽培委託され、同年7月18日に開花しました。 千葉公園の株は、昭和28年(1953年)8月5日に開花しています。
蓮華亭
千葉市が政令指定都市になったのを記念して、平成5年(1993年)に大賀ハスが千葉市の花に指定されました。 これを契機として、同年約900平方メートルのハス池が整備され、翌年の平成6年(1994年)には蓮華亭が整備されました。
大賀蓮記念碑
蓮華亭は、千葉市の花である「大賀ハス」がより多くの市民に親しまれるように建てられた大賀ハスの展示史料館です。 蓮華亭では、大賀ハスを主体とした花ハスの生態や文化など、ハスに興味を持ってもらうためのパネル展示が行われています。 蓮華亭の屋根の形は、ハスの葉っぱのデザインになっています。
千葉公園ハス池
また、平成24年(2012年)には開花60周年を記念して、大賀ハスの純粋な種を後生に引き継ぐために、東京大学から株を譲り受け「大賀ハスの系統保存」を始めています。 千葉公園では大賀ハスのみが栽培されており、現在約600株が栽培されています。
千葉公園ではハスの開花状況を毎日チェックし、ホームページで公表しています。 千葉公園のハス池で栽培している大賀ハスは、例年6月5日〜10日頃に開花が始まり、6月下旬から7月上旬に開花のピークを迎え、8月中旬に咲き終えます。 今年の第一花は6月3日に1本が確認され、昨年より7日、一昨年より4日早い開花とのことです。
梅雨入り後、6月12日から平均気温16度〜17度の低温が続き開花は足踏み状態だったようですが、6月16日から再び平均気温が20度を超えるようになると、開花数が一挙に40本を超えました。 開花数は6月21日に130本、6月23日に251本、6月25日に342本、6月27日に400本を超えて、開花の最盛期を迎えているとのことです。
千葉公園のホームページに2009年〜2012年の開花数のグラフが掲載されています。 過去2年間は、開花後10日で16〜33本、15日で100〜120本、20日で450〜460本、24〜25日で開花のピークとなっています。 今年は、6月3日に開花したものの、梅雨入り後の低温の影響で、過去2年間の開花ペースよりもやや遅れ気味になったとのことです。
千葉公園ハス池と綿打池
しかし、今週に入ってから開花がぐんと伸び、2010年の開花数の推移とほぼ同じ軌道をたどっているとのことです。 開花数は過去2年よりは少ないようですが、6月28日がピークと見積もられています。
ハスと走行中のモノレール
開花情報と天気予報を眺めながら6月28日に行こうかと思っていましたが、6月27日の天気予報が曇りから晴れマークに変わりましたので、急遽27日に出かけることにしました。 千葉公園では6月23日から7月8日の間は、蓮華亭を6時から早朝開放しています。 千葉公園に7時に到着しましたが、ハス池は既に多くの人で賑わっていました。
ハス池に到着してよく眺めると、花の数も多かったですが、それ以上に蕾の数が多く、少し早い感じでした。 帰宅後、開花数をチェックすると開花数は412本で今年の最高でしたが、蕾の状況から開花数は今後さらに増加しそうです。 6月28日の開花数が502本と発表されましたので、やはり少し早かったようです。 昨年は7月2日がピークで、開花数は720本でした。
ハス池のパネルに大賀ハスの4日間が掲示されていました。 1日目 早朝4〜5時頃から花弁がゆるみ始め、とっくり型に開いた後、全開せずに8時頃には閉じ始める。雄しべが花托に密着している。天候条件で開き方に大きな差がある。 2日目 深夜1時頃からゆるみ出し、朝7時〜9時頃に全開する。花容が最も優美になり、葯が開いて香りが強まる。雌しべの先が濡れ、花托は黄色みを帯びる。
3日目 深夜1時頃から開きはじめ、9時〜10時頃に全開して花径が最大となる。花色はややあせ、昼頃に閉じ始め半開の状態で終わる。花托が緑色を帯びてくる。 4日目 8時頃までに全開になり、花弁が少しずつ散り始め、午後3時過ぎには完全に散る。 花の退色が進み、花托上面は緑色が濃くなり、雌しべの先が黒ずんでくる。
パンフレットに「ハスに関するよくある質問」がまとめられていました。 鑑賞の時間は? 花の色、姿が共に最も美しいのは開花2日目で、6〜7時に満開となります。 9時頃から閉じはじめ昼前には完全に閉じますので、なるべく早い時間(7〜8時)の鑑賞がおすすめです。 なお、曇りの日の方が長い時間、花を楽しめますが、晴れている方が色は鮮やかです。
ハスは開花音って? 朝、目が覚めたコイが水面の虫などを吸い込むときの音、また葉の露の玉が転がり落ちる音…これが人によれば「ぽん」と聴こえ、ハスが開花する音と思う。これを大賀博士は「風流音」と呼んでいます。 一方「科学音」は、音がするかしないか科学的に調べる方法です。大賀博士は、レコ−ダ−を使ってテストを行った結果、ハスの花が咲くときは音がしないと科学的に判定され、今では「無音が」定説となっています。
ハスはどんな香り? 資生堂開発研究所の蓬田勝之氏は、ハスの花約50種の雄しべを使って香りを捕集し、その構成成分を分析しました。 その結果、すがすがしい花の香りの大部分は雄しべから放出されていることを明らかにしています。 香気成分は、開花1日目、2日目、3日目と開花の経過とともに増加していきます。
果托(花托)はどうするの? 千葉公園のハス池では、大賀博士から分根された大賀ハスの遺伝子を保存するため、蓮根による栄養繁殖で栽培しています。 種子繁殖を行わず、他のハスと交雑しないよう、実を結んで池に落下する前に花托(果托)は刈り取っています。
千葉公園の大賀ハスと走行中のモノレール
ハスの池の1年 4月中旬に浮葉が現れ、5月上旬に立葉が芽を出し、5月下旬には花蕾が立ち上がります。 千葉公園では6月中旬に第一花が咲き出し、6月下旬から7月上旬に開花の最盛期を迎え、8月中旬には花が終わります。11月には立葉が枯れ始め、下旬に刈り取ります。 翌年3月上旬頃、蓮根を堀りあげ、植え替えを行います(3年に一度のサイクル)
アクセス 千葉都市モノレール千葉公園駅から徒歩1分 JR千葉駅から徒歩10分 関連するホームページ 千葉公園 風来坊