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西側斜面散策路からの展望
頂上付近からの展望
塩船観音寺といえば「つつじ」という印象が強いですが、6月のアジサイ、7月の山百合を始めとして、百日紅、萩、彼岸花、山茶花などが四季を通じて咲き誇り、花の寺として親しまれています。 その中でもつつじが有名で、4月中旬から5月上旬にかけて行われる「つつじまつり」には、毎年10万人を超える参詣者が訪れるとのことです。
塩船観音寺は、山号を「大悲山」と称し、寺は地名の塩船をつけて「大悲山塩船観音寺」とされています。 塩船とは、周囲の地形が小丘に囲まれ、舟の形に似ており、仏が衆生を救おうとする大きな願い舟である『弘誓の舟』になぞらえて、塩船と名付けられています。
塩船観音寺は、京都市伏見区の醍醐寺を総本山とする、真言宗醍醐派の別格本山です。 大化年間(645年〜650年)に若狭の国の尼僧・八百比丘尼(やおびくに)が1寸8分の紫金の千手観音像を安置したのが開山と伝えられ、平安時代の貞観年間(859年〜877年)には、比叡山の僧・安然和尚が12の僧坊を建立して、興隆を極めたと伝えられています。
東側斜面散策路からの展望
観音寺は立地的に青梅街道に程近く、南に行けば御岳山〜高尾山、大山へ、北に行けば子の権現〜高山不動〜秩父の観音霊場へと山岳信仰の修験行者の通り道であったと推察されています。 しかし、明治時代の神仏分離令、修験道の廃止令などによって大きな打撃を受け、寺運は一時衰退しましたが、地域の有志の人々の手により山内が整備され、境内一面にツツジが植えられて復興を遂げたそうです。
本堂から祈願堂に向けてゆるやかな坂を下っていくと、前方のみならず左右の斜面全体に咲き誇るつつじが目に飛び込んできます。 ちょうど船底のような地形のため、境内の周囲がぐるりとすり鉢上の斜面に囲まれています。
この斜面全体に約15種類、1万7千本のつつじが植えられており、どちらの方向に視線を投げても、一面咲き乱れるつつじという感じになります。 早咲き、中咲き、遅咲きのツツジが、例年4月下旬から5月のゴールデンウィークに逐次ピークを迎えます。 その見事な光景は「新東京百景」にも選ばれています。
塩船観音寺では開花情報が提供されており、例年一番見頃の時期が6日間程度続くようです。 今年は、つつじの開花は早かったですが、その後寒い日が続いたため、開花のスピードが鈍り、見頃の時期は例年と同じ5月上旬となりました。 比較的空いている、ゴールデンウィークの谷間に行こうかと思いましたが、生憎の天候で5月3日に訪ねることになりました。
10時少し前にJR青梅線河辺駅に到着すると、改札口の外側では、「つつじまつり」のパンフレットが配布されており、その周囲では大勢の人が待ち合わせをしています。 ゴールデンウィークの初日だけあって大変な人出だなと思いつつ、パンフレットをみてびっくりです。 「紫燈護摩 火渡荒行修行 5月3日火渡り 午前11時より」と書かれています。
つつじ丘山頂に建立された塩船平和観音像
本日は、年に一度の例大祭でした。 塩船観音寺の「つつじまつり」の期間中は、JR青梅線河辺駅北口から塩船観音寺入口まで臨時バスが運行されています。 本日は多分ピストン輸送かと思われます。 しかしながら、バスの停留所を見るとすでに多くの方が並んでいます。
満員のバスに揺られていくよりも、気楽に歩くのが良いのかなと思い、歩くことにしました。 JR河辺駅から塩船観音寺までは、約2Kmですから、午前11時からの火渡りのイベントには歩いても十分間に合います。 歩き始めると三々五々と歩いている人を見かけます。 この日は気温が低く、気持ち良く歩けます。
つつじ丘山頂
駅では「徒歩で約40分」と案内されていましたが、30分で塩船観音寺に到着しました。 観音寺仁王門から、阿弥陀堂、本堂を経て境内に入ると前方全体に広がるつつじが目に飛び込んできます。 すり鉢状の斜面全体につつじが植えられていますので、本堂から祈願堂に向けての緩やかさ坂道を進むにつれて、見えるつつじの量も増えてきます。
しかしこの日は様子が異なっていました。 祈願堂の前に11時から開始される「紫燈護摩 火渡荒行修行」の準備がされており、その周囲を多くの見学者が取り囲んでいました。 観音寺に到着したのが10時30分ですから、すでに多くの人が火渡りの行事を見やすい場所を確保された後という感じでした。
塩船観音寺本堂
本堂傍からの境内の展望
祈願堂前には「紫燈護摩 火渡荒行修行」の準備が
「紫燈護摩 火渡荒行修行」の準備
「紫燈護摩 火渡荒行修行」の行事開始まで30分ありますので、まず境内のつつじを見て回ることにしました。 塩船観音寺では、すり鉢状の斜面の一番高いところに散策路が設けられており、上からつつじを眺めながら、入り口付近から反対側まで3/4周することができます。
また、つつじ丘山頂に観音像が建立されています。 この塩船平和観音立像は、塩船観音寺開創1350年の記念行事として、建立されたものです。 つつじ丘山頂からは、すり鉢状の斜面に咲くつつじ全体を眺めることができます。
「紫燈護摩 火渡荒行修行」の儀式
塩船観音寺のつつじ丘では、すり鉢状の斜面には数多くの散策路が設けられています。 斜面を上下しながら、さまざまな角度からつつじを楽しむことができます。 しかし、この日は「紫燈護摩 火渡荒行修行」を見ることのできる斜面の散策路も、多くの見学者で埋め尽くされていました。 風来坊もその一員に加わって、つつじ丘の斜面から行事を見学しました。
「柴燈護摩」とは元旦からの護摩の総仕上げにあたる行事で、ヒノキの枝や薪を燃やしその火に護摩木をくべていきます。 その柴燈護摩の後には火渡り神事が行なわれ、まだ火がくすぶる灰の上を修験者や参拝者が1年間の無病息災、家内安全、商売繁盛などの願いを込めながら渡っていきます。
火渡荒行修行の準備
今回はこの「紫燈護摩 火渡荒行修行」を見学することができました。 境内の中央に杉の枝が四角く積んであります。 法螺貝の音とともに住職と修行僧の山伏たちが、斧や刀を持って祈祷します。 引き続いて、弓矢では四方に矢を放ち魔を切る儀式が行われます。
火渡荒行修行
松明で杉の枝に火を着けると一気に燃え始めました。風来坊は随分離れた散策路の斜面から眺めていましたが、それでも熱く感じる火の強さです。 祈祷された護摩木が逐次くべられます。 護摩の火が燃え鎮まるのを待ち、お清めの塩が山伏の通る出入り口に置かれ、いよいよ火渡りの儀式が始まりました。 山伏たちはお経を唱えながら素足で通り抜けていきます。 まだ十分熱いのをものともせず渡っていきます。
火渡荒行修行 一般の参加者
火渡荒行修行 一般の参加者も素足で渡ります
一連の行事が終了後、一般の人が参加できる火渡りが始まりました。 一般の人達も祈祷を受けた後、素足で渡っていきます。 風来坊も火渡りに参加しようかと思いましたが、長蛇の列でしたので今回は諦めました。
アクセス JR青梅線河辺駅から塩船観音寺入口バス停までバスで10分 塩船観音寺入口バス停から徒歩8分 JR青梅線河辺駅から約2Km 徒歩30分 駐車場 約200台駐車可能で料金は700円です。このほか付近に臨時駐車場があります。
火渡荒行修行 小さな子供も参加です!
開園時間&入山料 開園時間は午前8時から午後5時までで、入山料は大人300円、子供100円です。 関連のホームページ 塩船観音寺 風来坊