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熱海散策 起雲閣 (H27.2.10)


起雲閣



起雲閣



起雲閣

起雲閣は、丹那トンネル開通時の鉄道大臣を務めるなど政財界で活躍した内田信也氏が大正8年(1919年)に実母の静養の地として造った別荘が基となっており、非公開の岩崎別荘、今はなき住友別荘と並び、「熱海の三大別荘」と賞賛された名邸です。

玄関、「麒麟」の棟、離れの「孔雀」が当時の姿をとどめています。


その後、大正14年(1925年)に東武鉄道グループの礎を築き「鉄道王」の異名で呼ばれた根津嘉一郎の手に渡り、ほぼ現在の姿に整備されました。

昭和22年(1947年)には、旅館として生まれ変わり、 山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治など日本を代表する文人に好まれました。

「麒麟」「大鳳」の棟、「孔雀」の棟、「金剛」「ローマ風浴室」の棟、「玉渓」「王姫」の棟、表門の4棟1門は、平成14年(2002年)に熱海市の有形文化財に指定されました。


起雲閣



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起雲閣

和館「麒麟・大鳳」

内田信也が実母の静養の場所として建てた別荘で、伝統的な和風建築のたたずまいですが、随所に斬新で先駆的な技術も見られるとのことです。

この建物は、大正8年(1919年)に完成しました。

座敷は、床の間や付書院まわり、欄間など、豪華な装飾や際立った特徴のない簡素な造りです。しかし、高くとられた天井や座敷の三方を取り囲む畳廊下、庭園の風景は、現在では見ることの少なくなってきた贅沢な空間となっております。



起雲閣



起雲閣


畳廊下の窓ガラスは、当時の職人が一枚一枚流し込んで作った「大正ガラス」が残っており、その微妙なゆがみが美しさを感じさせています。

ひときわ目を引く群青色の壁は、旅館となってから塗り替えられたものです。「加賀の青漆喰」と呼ばれる石川県加賀地方の伝統的な技法ですが、旅館を開業した「桜井兵五郎」が石川県の出身であったため、これを取り入れたといわれています。

二階座敷「大鳳」には、旅館当時「太宰治」が宿泊したといわれています。


起雲閣



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和館「孔雀」

この建物は、大正8年(1919年)に完成した、内田信也の別荘の一部です。

当時は、現在の喫茶室をはさんで和館「麒麟」の隣に建っていましたが、昭和28年(1953年)、旅館として客室と宴会場を増築するにあたって、現在の音楽サロンのあたりに移され、その後、昭和56年(1981年)に現在の場所に移されました。



起雲閣



起雲閣


「床の間」や「付け書院」のある座敷は、今では見ることが少なくなってしまいましたが、当時としては基本的で一般的な座敷となっています。

「麒麟」と同じように、座敷の周りを畳廊下が取り囲む入側造で、比較的地味なつくりですが、部分的に竹や漆塗りの木材を使用するなど、落ち着いた雰囲気のなかにも上品な演出が施されています。

「麒麟」と同様、窓ガラスや障子など建具のほとんどは、建築当時の物です。


起雲閣



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洋館「金剛」

この建物は根津嘉一郎により、昭和4年(1929年)に完成しました。その後、何度か改築されています。

建築当時は独立した建物で、部屋への入り口あたり、石張りの廊下部分が玄関となっていました。

金剛では、暖炉上方のスペード、ハート、ダイヤ、クラブを象った模様をはじめ、草花の模様などが、洋館では大変珍しい螺鈿細工によって施されています。



起雲閣



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ローマ風浴室

洋館「金剛」に併設されたローマ風浴室は、平成元年(1989年)の改築の際、多くの部分で現代の材料に改められてしまいましたが、ステンドグラスの窓やテラコッタ製の湯出口などは、建築当時の物です。

肌触りの良さや滑り止めの効果を考慮して、浴槽の周囲には「木製のタイル」が敷かれているほか、建築当時は畳敷き、あわせて9畳の脱衣室と化粧室も敷設されていました。


起雲閣



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「玉渓」「玉姫」の棟はサンルームと2室からなり、根津嘉一郎により、昭和7年(1932年)に完成しました。

主室の「玉渓」は、中世英国のチューダー様式の建物です。

しかし、暖炉の覆いにはサンスクリット語の飾り、入口の天井には茶室のように竹が用いられるなど、独特の空間となっています。暖炉脇の太い円柱は、古い寺か神社の柱とも、江戸時代の帆船の帆柱ともいわれており、この柱と暖炉は、日本建築の「床の間」と「床柱」にも見立てることができます。



起雲閣


「玉姫」は、正面中央に暖炉があるヨーロッパのデザインを基本にしていますが、「折上格天上」など日本の神社仏閣に見られる建築様式が用いられています。また「喜」の文字をデザインした中国風の彫刻や、シルクロード沿いで見られる唐草模様の彫刻で飾られています。


起雲閣



起雲閣



起雲閣

「玉姫の間」に併設されたサンルームは、大きな窓とステンドグラスの天上、色鮮やかなタイルの床が特徴で、「アールデコ」のデザインを基調にしています。

サンルームの名のとおり、たくさんの日光を取り入れるために、天井とともに屋根もガラスで葺かれており、これらは鉄骨によって支えられています。

天井と高窓の間には、唐草模様が刻まれた石膏の装飾が施されています。



起雲閣


起雲閣の表門は、大正8年(1919年)に創建され、薬医門とよばれる造りになっています。

薬医門は、鎌倉時代末期・室町時代初期の武家または公家の屋敷などに現れた門形式のひとつで、後に城郭や寺社などにも使われるようになりました。


起雲閣



起雲閣



起雲閣

起雲閣の庭園は、池泉回遊式庭園で、眺望を楽しむことと、散策を楽しむという両面性をもった庭園です。

眺望については、敷地内の各建物、各部屋それぞれの場所から眺めたとき、どこから眺めても快適な庭となるように設計されています。

散策については、眺めるだけでなく実際に庭に入ることができ、心楽しませるつくりとなっています。



起雲閣の梅



起雲閣の梅



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